今月の臨床 分娩誘発と陣痛促進法の見直し―安全な分娩管理を目指して
陣痛発来のメカニズム
瓦林 達比古
1
1福岡大学医学部産婦人科
pp.120-125
発行日 2012年2月10日
Published Date 2012/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102902
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●子宮筋は妊娠中には過分極により全体的な収縮が抑制され,分娩が開始すると脱分極,活動電位変化,興奮伝導速度の増加などにより効率的な同期性収縮に変化する.また,エストロゲンによる細胞の肥大,収縮蛋白の増加,ギャップジャンクションの形成,さらにオキシトシン受容体の増加などにより全体的な収縮性が高くなる.
●ヒトにおける未妊婦と産褥期婦人の比較研究では,機械的張力は1/12倍,コラーゲンと硫酸グリコサミノグリカン濃度は50%,ヒアルロン酸濃度は35%,コラーゲン分解活性は5倍に変化する.このような生化学的変化と同時に,前陣痛などによる子宮頸管への物理的開大刺激が加わってさらに子宮頸部は軟化し開大する.
●陣痛発来には多くの仮説が報告されているが,子宮筋自体の変化と,性ホルモン,カテコラミン,オキシトシン,プロスタグランジン,サイトカインなど多くの生理活性物質のエンドセリン,パラクリン,オートクリンを介した作用により総合的に陣痛は誘発され増強している.
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