増刊号 周産期診療のための病態生理
[産科編]
分娩のメカニズム
なぜ前期破水すると陣痛発来しやすいのか
三谷 穣
1
,
松田 義雄
2
MITANI Minoru
1
,
MATSUDA Yoshio
2
1福田病院
2東京医療保健大学
キーワード:
前期破水
,
陣痛発来
,
子宮内感染
,
人工破膜
,
プロスタグランジン
Keyword:
前期破水
,
陣痛発来
,
子宮内感染
,
人工破膜
,
プロスタグランジン
pp.85-87
発行日 2023年12月28日
Published Date 2023/12/28
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001246
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前期破水
前期破水(prelabor or premature rupture of membrane:PROM)は正期産期の約8%に生じる1)。また,早産期前期破水(preterm PROM:pPROM)は全妊娠の2~3%を占め2),全早産例の13~40%を占める1)。正期産PROMでは自然陣痛が始まることが多く,1996年のHannahらの大規模な研究によると,待機的に管理した正期産期PROM 2,524例において,約80%が4日以内に自然陣痛が始まっている3)。同様にCochraneのメタアナリシスによると,正産期PROMで待機した群では,約80%が自然分娩となっている4)。Fetal-Maternal Medicineには正期産PROM例の95%が28時間以内に分娩となるとまとめられている1)。同様に,pPROMにおいても早期に陣痛が始まる率は高く,34週未満の破水では1週間以内に分娩となる率が50~60%とされている1)。破水から分娩までの期間は週数が進むとともに短くなる。1994年,Nelsonらは511例のpPROM例を待機的に管理した結果,破水から分娩までの日数は週数とともに短くなり,20~21週では43.9~121.8日,22~26週では7.5~34.7日,26~30週では5.8~9.8日,30~33週では3.4~10.5日,34週以後では1.4~1.6日となることを報告している5)。
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