手術
卵管妊娠の手術
西村 敏雄
1
,
松浦 俊平
1
Toshio Nishimura
1
1京都大学医学部産婦人科学教室
pp.681-689
発行日 1971年7月10日
Published Date 1971/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204446
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はじめに
子宮外妊娠は婦人科疾患の中でももつともしばしば緊急の手術的処置を必要とする疾患である。近年では,失血ショック対策の長足の進歩に伴い,その死亡率も著しく低減してはいるが(Cam-pbell,0.25%),死亡の原因はやはり手術療法の遅滞にあるということができ,腹腔内出血による失血性ショックから回復する機会を失なつて不可逆ショックに陥入り死に至る場合がもつとも多い。したがつて急性ショック発作を示したものはもちろんのこと,比較的緩慢な経過をとつている卵管流産例にあつても失血ショック準備状態にあると考えて,診断が確定し次第手術に耐えうると判断される状況であるならば,機を逸することなく開腹に踏み切らねばならない。以下,子宮外妊娠中,もつとも発生頻度が高い卵管妊娠の手術療法につき解説を行なつてみる。
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