特集 日常診療上の狙いと盲点・II
産科領域における最近の傾向と変遷
分娩誘発時期の決定
雨森 良彦
1,2
Yoshihiko Amenomori
1,2
1日本赤十字社医療センター産科
2東京大学医学部産婦人科
pp.396-400
発行日 1973年5月10日
Published Date 1973/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204822
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従来の胎盤の老化(胎盤機能不全症候群,Clifford)を認めるか否かの論争,認めるとしてもその予定日超過に対する処置として待期主義をとるか,また積極誘発主義をとるかについての変遷について述べてみたい。したがつてここには純産科学的な分娩誘発についてのみとり上げ,いわゆる便宜的な昼間分娩,予約分娩(appointmentdelivery)については特にふれないこととする。
哺乳動物にはそれぞれの種属特有の在胎期間が規定されている。そしてそれは生物学的現象であることの例にもれずある程度のバラツキをもつ正規分布を示している。臨床的にはその平均値が分娩予定日と便宜上称せられているものであろう。種属保存の目的のためにも,この生物学的分娩日の個体差によるバラツキは,母児の許容性の内に包まれてあり,大多数は異常にはいたらない。しかし正常と異常は連続した一線上にあり,どこに1線を劃して区別するか困難な操作であることは当然である。
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