臨床医のプライマリ・ケア 救急医療のfirst aid
性器出血
宮川 勇生
1
,
森 憲正
1
Isao Miyakawa
1
,
Norimasa Mori
1
1宮崎医科大学産科婦人科学教室
pp.89-92
発行日 1982年2月10日
Published Date 1982/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409206560
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
性器出血は,産科婦人科の救急医療において最もよく遭遇する主訴の一つである。救急医療で取り扱う性器出血の多くは,かなり大量の出血である場合が多いが,たとえ少量であっても,大量出血の,また,重篤な疾患の前駆症状である場合もあり,胎児を死へ,さらには,数時間前まで健康状態にあった母体をショックから死へ至らしめることは決してまれではない。
性器出血では,症状としての出血そのものが重篤な危険を孕んでいるが,われわれにとってさらに大切なことは,その原因をできるだけ早く明らかにして,つぎに患者が陥りやすい状態を予想し,後手にならないように対処することである。これらは,常位胎盤早期剥離の初期に見られる少量の出血が,引き続き起こりやすいDICによる止血困難な出血や腎不全の前触れであり,それに対する心構え,治療のための薬剤,器具の準備などが重要であることは日常の臨床で経験するところである。
Copyright © 1982, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.