特集 新生児の救急対策
小児外科的奇形にともなう救急処置
植田 隆
1
Takashi Ueda
1
1大阪市立小児保健センター小児外科
pp.499-504
発行日 1972年6月10日
Published Date 1972/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204620
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I.内臓脱出症
"臍帯ヘルニア"とも称するが,名称は統一されていない。欧米でも,"Omphalocele","Exom—phalos","Umbilical eventration","NabelschnürBruch"などと呼ばれる。近年嚢の破れた内臓脱出症(Omphalocele)と,初めから嚢の存在しないGast—roschisis (ガストロスキージス,先天性腹壁披裂)とを区別するようになり,両者は成因が別で臨床的にも一見して鑑別できるようになるとともに,この種の奇形の発生論がさらに詳細に解明されつつあり,これに伴い名称はさらに複雑化してきている。例えば,Duhamelは胎生学的研究から,①upper celosomia,②middle celosomia,③lowercelosomia④gastroschisisと分類しており,腹壁欠損部位と成因論の立場から非常にすぐれた分類であり,すぐれた名称と思うが,未だ一般に広く馴染まれていない。ここでは発生論と病型分類に詳細に立ちいることを避け,純臨床的な治療面だけを平易に解説することにする。図1〜3にみられるように,臍部を中心に腹壁欠損が存し,この部分に内臓が脱出している。
通常は薄い膜を被つており,内容が透視できる。この膜に臍常が附着している。
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