症例
多発奇形をともなったFrontonasal dysplasiaの1剖検例
有澤 正義
1
,
野原 当
1
,
中山 雅弘
1
,
末原 則幸
1
Masayoshi Arzawa
1
1大阪府立母子保健総合医療センター
pp.374-377
発行日 1992年3月10日
Published Date 1992/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900794
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Frontonasal dysplasiaは顔面を中心とした比較的稀な奇形である。両眼隔離,V型の前頭部の髪,潜在性二分頭蓋,原発性telecanthus,正中唇裂,鼻の正中裂,正中口蓋裂などの顔面正中裂を特徴としている。われわれは,顔面だけでなく中枢神経系,内臓にも高度の合併奇形を認めた1例を経験した。母親は,26歳の経産婦で既往妊娠歴・分娩歴,既往歴,家族歴,妊娠歴に異常は認められなかった。児は妊娠34週に分娩となり,分娩後呼吸不全のため死亡した。1,598gの男児で,鼻尖欠損をともなった両眼隔離,小眼球症,両耳介形成不金,両外耳道欠損,発毛異常などの外表奇形が認められた。さらに剖検により,中枢神経系では大脳核の形成不全,内臓では高度の心奇形,馬蹄肺,膀腸瘻なども認められた。染色体検査の結果は46XYの正常型であった。このような多発奇形を合併したfrontonasai dyspiasiaは非常に稀であると考えられる。
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