アルコールによる臓器障害・1
アルコールにともなう神経症状
古和 久幸
1
1北里大内科
pp.100-103
発行日 1974年1月10日
Published Date 1974/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402205277
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はじめに
アルコール多飲者にしばしば精神症状(幻覚,振せんせん妄,コルサコフ症候群など)があらわれることは良く知られており,わが国では主として精神科領域でとり扱われてきた.一方,欧米ではこれら精神症状のほかに,多発神経炎,ウェルニッケ脳炎,てんかん発作などの中枢および末梢神経障害がアルコール多飲者にかなりの頻度にみられる,とくに米国では慢性アルコール中毒者が多く,成人人口の約5%,5〜6百万人にも達するといわれ,アルコールによる神経症状を有するものが,Neurologyの外来の大半を占めているといっても過言ではない.
わが国でも,生活様式の欧米化にともない,高濃度のアルコールが長期間常用されてきた,最近になり,アルコール中毒によると思われる神経症状もときにみられるが,その頻度は欧米に比してまだ少ない.その原因については不明であるが,アルコール飲料の種類,濃度,量,食事習慣の違いなどが関係しているかもしれない.
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