特集 悪性腫瘍の治療--最近の焦点
子宮頸癌の治療
平林 光司
1
Koji Hirahayashi
1
1岡山大学医学部産婦人科学教室
pp.191-197
発行日 1972年3月10日
Published Date 1972/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204569
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緒 言
頸癌治療の主体が手術療法と放射療法であることは論をまたないが,この2つの治療法が比較的高い水準で,並行的に行なわれている点にわが国における頸癌治療の特色があると思う。手術がよいか,放射がよいかという問題は数年前まではよく論じられてきたが,現在は個々の症例について,どちらの治療法を選ぶ方が治癒率と障害面からみてよいかという問題に焦点が移つていると考えられる。そして最近は放射中心であつた欧米において早期癌にはより手術を,一方手術中心であつたわが国においては放射へと双方からの歩みよりがみられるように思われる。このような歩みよりは治療設備,手術の難易というような付随的な事柄よりも,世界における多くの治療経験,治療成績の考察によつてもたらされたと考えるべきであろう。しかし一面,このことは手術と放射のそれぞれが持つ本質的特徴が臨床的にも裏づけられてきたという証左ではなかろうか。
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