特集 術後合併症の治療
血腫,術創哆開
関 智己
1
Tomomi Seki
1
1長崎大学医学部産婦人科
pp.127-131
発行日 1971年2月10日
Published Date 1971/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204353
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まえがき
近年,手術技法および術後管理の改善,抗生物質,輸液輸血の利用により重篤な術後合併症は減少の一途にあるといえるが,頻度こそ少なくなつているが,かつて遭遇した合併症が現在なお発生しているのは見逃せない。恐らく尿路感染症,創傷を含めて手術野の感染症,血栓症は上位にランクする合併症であろう。創傷感染とか術創哆開,血腫などはあまり公にすべきものでないのか,あるいは術者の恥ずべきものとするためか,あまり文献上にもみあたらない。ましてその治療法となると成書に通り一片に記載はされているが,なかなかこれといつた一定の治療法は書かれてなく,各人独自の治療がなされているのが現況かと思われる。しかしこのような意外な合併症が偶発することを,術後処置を行なう者は一般的処置は無論のこと,不測の合併症の対策をある程度心得ておく必要があり,以下,術後血腫,術創哆開について当教室での治療を中心にして,その原因にもわたり検討を試みた。
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