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婦人科疾患のコンピューター診断
竹内 久弥
1
1順天堂大学産婦人科
pp.502
発行日 1970年6月10日
Published Date 1970/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204223
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最近コンピューターを用いて診断を行なう試ろみが見られるようになつてきたが,われわれ産婦人科の領域ではこのコンピューター診断の可能性はどうであろうか? ボストンにあるNew England Medical Cen-terではNeurathら(New EnglandJ.Med.,280:745,1969)が婦人科疾患の術前鑑別診断のためにコンピューターを利用しているという。彼らは3ヵ所の大病院の病歴から100以上の項目を抽出して基礎データを作ってコンピューターに記憶させ,手術予定患者が入院してくると,特別のチェックリストを使用して術前診断をさせてみた。年齢,月経歴,既往歴,現病歴,症状などは重症度順に記入され,あらゆる種類の検査データが加えられてコンピューターの入力とされた。コンピューターはこれらの情報を識別因子の重要度順にチェックし,最終診断に到達する。識別因子としては,この実験では重要度順に,種々の症状,年齢,下垂の有無,全身状態,附属器所見,骨盤腔内腫瘤の有無など,主なものだけで26項目が使用された。つまり,まず症状でふるい分け,次いで年齢でという順に作業が進められるのである。
子宮筋腫,スタインレヴェンタール症候群,子宮内膜症,卵巣腫瘍,子宮膀胱脱,内膜ポリープ,子宮外妊娠,骨盤内感染症,癌の12種類の疾患について,425例のコンピューター診断の結果は誤診率33%であつたという。同一症例の医師による術前診断誤診率が34%であつたことから,現状のコンピューター診断能力は医師のそれとほぼ同様であるといえる。
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