薬の臨床
尿路感染症に対するNeomysonの臨床治験
藤井 日出男
1
Hideo Fujii
1
1西尾市民病院産婦人科
pp.371-373
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204206
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はじめに
婦人の尿路感染症を産婦人科領域で取り扱うことが多い。急性症の診断ならびに治療は比較的容易であるが,慢性症のそれとなると意外に困難なことが多い。私はこの慢性尿路感染症が原因で,婦人が腰痛であるとか,あるいは下腹痛を訴えたり,また無症候性尿路感染症が妊娠を契機として急性症状を呈したり,あるいは腰痛とか下腹痛などの不定愁訴を訴えるようになつたり,またたとえ妊娠末期迄症状の発現がなかつたとしても,尿所見上,晩期妊娠中毒症との鑑別診断に迷つたり,産褥期に急性症状が現われたりするなどすでに発表してきた。
近年,尿の定量培養法の意義が指摘され,この簡易テストであるTTC-testなども開発され,診断面で日常臨床に応用され,無症候性尿路感染症も漸次解明されつつある。これとは別に私は近々発表予定であるが,尿沈渣所見より検討し,たとえカテーラル尿で塗沫はもちろん培養で起炎菌が認められなくも,尿蛋白が精々20〜30mg/dl以下で,尿沈渣の膿球が各視野数カ以上認められた場合は,尿路感染症と診断しても大きな間違いがないとの結論に達し,化学療法で自覚症状はもちろんのこと,沈渣所見の改善をみている。
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