研究
新生児黄疸に関する研究(第12報)—遅発性遷延性Hyperbilirubinemiaに対する母乳停止の効果
舘野 政也
1,2
,
上島 半治
1,2
Masaya Tateno
1,2
1金沢大学医学部産科婦人科学教室
2富山県立中央病院産科婦人科
pp.893-896
発行日 1969年10月10日
Published Date 1969/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204108
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はじめに
血清中の非抱合型bilirubin,すなわち脂溶性の間接bilirubinは大部分がalbuminと結合して肝に運ばれてくると1),グルクロン酸抱合を受けて水溶性となり胆汁中へ排泄される。ところで,このglucuronidationには上述のintrahepatic glu-curonidationと腎,胃腸粘膜,結合織,皮膚などにおける,いわゆるextrahepatic glucuronidationがある。この際,後者はさておき,肝におけるglucuronyltransferaseの活性には種々のsteroidshor-mone,抗性物質,水溶性vitamin K,anoxiaおよびわれわれがすでに指適した甲状腺機能低下症などがinhibitorとして作用する。特に遷延性重症黄疸児における母乳中のpregnanediolは,従来からglucuronyltransferase活性のinhibitorとして重要視されてきている。私は今回,遷延性重症黄疸の場合に,母乳停止が血清bilirubin値の消長に対して,どのような影響を及ぼすかについて少数例ながら観察したので,以下これについて検討を加えてみたいと思う。
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