グラフ
頸管妊娠<?>の子宮卵管X線像
山口 龍二
1
,
藤山 忠信
1
1東北大学医学部産婦人科学教室
pp.833-836
発行日 1969年10月10日
Published Date 1969/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204099
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症例柏○○○
19歳,未婚 1妊0産
最終月経1968年7月14日。8月25日腰痛と凝血排出あり,27日某医に掻爬を受けたが,そのとき絨毛を認めたという。9月3日,突然大出血あり,他医に入院,諸種の治療にもかかわらず数度の出血発作あり,10月22日当科に送院された。診察により中等度の貧血(赤血球数257万,血色素Sahli 50%)を認め,また内診所見では腟内に約100gの凝血があり,子宮は正常大だが頸部は超鶏卵大で,頸管後壁に小さい組織片らしいものを触れるが剥離はできない。子宮内および頸管内の掻爬では,組織学的に胎盤組織は確認できなかつた。Friedman反応50単位陰性および免疫学的妊娠反応陰性。はじめ絨腫を疑いメソトレキセート75mgを投与したが,出血が持続したので,次いで頸管妊娠遺残の疑いで頸管内にラジウム100mgeh挿入したところ,以後出血は減少し,44日目に退院した。
本例は掻爬によつて胎盤組織を確認できず,また子宮摘出も行なわなかつたので,頸管妊娠と断定することはできないが,その臨床経過からして頸管妊娠と想像され,内容除去操作によつて胎盤組織の大部分は排除されたが,一部の残留によつて数度の大出血を起こしたが,少量のラジウム照射によつて,残留胎盤組織が崩壊排出されて完全治癒に至つたものと思われる。
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