研究
産婦人科領域分離ブドウ球菌の薬剤耐性—過去12年間の推移と最近の知見
松田 静治
1
,
森 操七郎
1
,
山田 陽久
1
Seiji Matsuda
1
1順天堂大学医学部産婦人科学教室
pp.591-599
発行日 1969年7月10日
Published Date 1969/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204068
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はじめに
近年ブドウ球菌(以下ブ菌と略)における耐性菌の出現は,結核菌,赤痢菌とならび多剤耐性化という特微で疫学的に重要視されている。またブ菌感染症は,臨床的にその分布が広汎にわたること,病原ブ菌という特有の耐性pattern,ファージ型を示す菌がみられること,病像が特異的かつ多彩なこと,重症型では致命率も高いことなどの諸点から,薬剤耐性の問題とともに診断,治療の面で臨床家を悩ませている現状である。
わが領域でも骨盤内感染症よりブ菌の分離される率が高い他,術後創感染,産褥乳腺炎,新生児の化膿性疾患,菌交代症など本菌による疾患がしばしばみられる。このような産婦人科領域におけるブ菌の病原的意義にかんがみ,以下本菌の薬剤耐性を過去12年間の耐性推移を中心に検討する他,最近の新薬に対する感受性態度など,二,三の項目につき若干の考察を加えてみる。
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