特集 産婦人科医に必要な臨床病理の知識その2
子宮頸部の悪性病変—特に頸癌初期病変の理解のために
豊島 克
1
Masaru Toyoshima
1
1東京大学医学部産婦人科教室
pp.791-796
発行日 1966年10月10日
Published Date 1966/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203569
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はじめに
子宮頸部の悪性病変は子宮頸癌によつて代表され,その90%以上がいわゆる「扁平上皮癌(Pla—ttenepithelkrebs,spuamous cell carcinoma)」あるいは「類表皮癌(epidermoid carcinoma)」と病理学的に呼びならわされている病変である。そして,そのごく早期の病変像として上皮内癌(carcinoma in situ)が発見されてからもかなりの年月が経過し,子宮頸部初期癌について,数多くの研究がなされてきた。
今日,多くの頸癌が上皮内癌を経て,侵入癌(invasive cancer)に至るであろうことは大方の研究者の認めるところとなつたが,さらに進んで上皮内癌を経過しない侵入癌が確かに存在するか否か? あるいは,すべての上皮内癌は侵入癌に進展するか否か? あるいはまた一部の組織像から頸部全体の病変の現況と予後を推測しえないか? 等々,我々臨床家にとつてぜひとも知りたい問題が未解決のまま山積している。そして,これらの問題の解決には,我々臨床家が頸瘤の初期病変像を正しく理解して,積極的なfollow up stu—dyを行ない,あるいは,剔出材料の精力的な精査を行なつて多くのdataを積み重ねて行くことが一つの大きな手段となるであろう。
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