MY THERAPY in series・22
内子宮口部を確実に縫縮するShirodkar氏手術の変法
杉浦 淳三
1
1蒲郡市民病院
pp.484-485
発行日 1964年6月10日
Published Date 1964/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203069
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頚管無力拡大症の手術療法の中では,Shirodkar氏手術の成績が良いようであるが,その成績も,東大官川の80%が最高のようである。その最大の要因は,原法が第1図のごとく,ひきさげた子宮の支持靱帯の上から,内子宮口部を縫縮するため,縫縮糸が下方へ滑脱し,内子宮口部の縫縮が不充分となり,抜糸もしないのに,内子宮口部が開大するためと考える。そこで,私は昭和37年2月から,内子宮口部を確実に縫縮するため,第2図の如く,3対の子宮支持靱帯より子宮体側で,内子宮口部を確実に縫縮する術式を48例に施行し,すでに分娩をみた38例中,生児を得なかつたのは3例のみで,92%を越す成績を挙げている。
術式:まず切開個所の腟壁にボスミン加生食を注射したのち第3図のごとく,子宮腟部前面に,膀胱下端にちかく横切開を加え,膀胱を充分に剥離したのち,膀胱子宮靱帯と子宮との間に指を挿入し,膀胱子宮靱帯を圧排しつつ,基靱帯の上縁に達する。ついで,子宮腕部後面から両側の仙骨子宮靱帯をさぐり,その子宮附着端から1.5〜2cm離れて横切開を加え,腟壁を鈍性に剥離し,仙骨子宮靭帯の奥を通つて基靱帯の上縁に達する。次に,前後両面から指を挿入して,基靱帯の上縁を充分に剥離すると,ついに1枚の紙のようにうすい場所(○印)を見出す。
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