Proposal
医学雑誌の昨日・今日
遠
pp.338
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203033
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本誌「あとがき」は,よほどの事情がない限り,安藤畫一,長谷川敏雄,藤井久四郎,小林隆の各先生が編集委員として執筆されている。
一般に「あとがき」というものには非常に事務的に編集後記,埋草ふうに書かれたものが多い。そういう類の「あとがき」は概して出版社の編集担当者が当座の間に合せに慌てて書きとばすものらしく,味気なく目次内容を羅列して話の辻褄を合せる程度である。やはり,判然と署名が入つて,編集責任者の感慨や意嚮が平淡な口調で語られている「あとがき」の方が床しく,何よりも読むに価する。
「あとがき」には概して「巻頭言」よりも隠れた読者ないしフアンがいるものらしく,雑誌はうしろから読みはじめると言う人が案外多い。編集上の楽屋ばなしに興味をもつというのではあるまい,やはり署名筆者の文章に魅かれ,啓発されることに不可説の快を覚えるのであろう。「あとがき」と称するからには,何らかの形でその雑誌のその号の持味と関わる所はある。しかし場合によつては,もつと話題が拡がり,ある時は全然別趣の感想に亘ることも少なくない。また,その方により深く親しみを覚えるということもある。その点,本誌「あとがき」などは読者がまず開く好箇の読物頁であろうと思う。
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