焦点 看護における事例研究の問題点
座談会
看護における事例研究の昨日・今日・明日
飯田 澄美子
1
,
樋口 康子
2
,
島内 節
3
,
岡部 喜代子
4
,
中西 睦子
1
1神奈川県立衛生短大
2日赤幹部看護婦研修所
3国立公衆衛生院
4東京女子医大看護短大
pp.241-260
発行日 1979年10月15日
Published Date 1979/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200587
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中西 きょうは「看護における事例研究の昨日・今日・明日」というテーマでお話し合いをすることになりましたけれども,これは昨日・今日・明日というふうにきちんと押さえていくという意図では必ずしもなくて,"事例研究が非常に大事だ,事例研究に力を入れていこうじゃないか"という声が上がってからもうかれこれ10年以上になりますけれども,事例研究についていままでに系統的に論じられたことは少なかったんじゃないか。そこで,事例研究に関して,いままで感じていたこと,あるいは疑問に思っていたこと,あるいは解決の見出せないままに過ぎていたようなことを話題にして,看護における事例研究というものが何なのか,あるいはどうあればいいのかといったあたりを論じてみたいわけです。
事例研究は数の上から見ましても大変なものでして,これは飯田先生がずっと日本看護研究学会の発表論文を整理されて発表しておられるんですけれども,その中でも30%近い率だったように記憶しております。それをちょっと上回るのが調査研究で,研究の種類,研究の方法という点から考えても,看護研究の主流を占めている。それだけ多くの人が事例研究にエネルギーを集中しているわけですけれども,じゃいい事例研究がこれまで出てきているかというと,必ずしもそうではない。それは,看護において事例研究はどうあったらいいのかということがまだ根本的に話し合われたり,詰められたりしてないからということもあるんじゃないか。
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