文献紹介
妊娠貧血,他
pp.358
発行日 1964年5月10日
Published Date 1964/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203036
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妊娠には多少の貧血が必ず伴い造血剤で回復するが,造血療法に反対が少くない。Witts (J.Obst.Gyn. Brit.69:714,1962)は妊娠では血漿量・血球量ともにふえるが,PVの方がRCVより余計ふえ,従つて全Hb量は妊娠初期550gのものが7個月には725gになるが,Hb濃度は初め13.4g%が7個月には11.6g%へ下つてくる。従って造血治療を行なう必要はないというわけである。しかし妊娠中にFe欠乏のおこることは疑の余地がなく,Hb12g%でもFe欠乏は十分に存する。もひとつ問題になるのは巨赤芽球性貧血で,少くとも2.8%の頻度に妊娠に合併し,英国に関する限りこの貧血は葉酸欠乏にもとづくというべく,妊娠12週でそれが著明である(chanarin, I. :Lancet 2:634,1959)。葉酸は母体にも胎児にも欠乏し,正常人の必要量の1000倍(1日20mg)を与えなければこの種の貧血は回復しない(Witts上記)。しかし,妊娠30週以前にこの種の貧血が見出されることは残念ながらきわめて少い。Paintin (J.Obst Gyn Brit 69:719,1962)によると12〜37週までにPVは30%ほど増加するが,RCVは少なからず減少する婦人がある(増加するものは勿論多いが)。
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