PROPOSAL
老化と産婦人科—老化阻止研究の困難性と重要性
鈴木 雅洲
1
1新潟大学
pp.254-256
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203012
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今さらいうまでもないが,最近における医学の急速な発達により,人類の平均寿命が年々延長していることは,まことに喜こぶべきことである。しかし,これは,診療を中心とする臨床医学の発達のため,および疾病の予防医学の向上に由来するためであつて,老化防止についてはなんらの対策もない,といつても過言ではないであろう。従つて,平均寿命の将来の延長見透しも,ある程度までゆけば止まることが予想される。生命を永久につづけたいという願望は,今も昔も変ることがなく,人類の最も大きな本能の一つであろう。これを達成するには,老化防止医学以外に目的をとげる手段はない。しかし,数多くの研究が行なわれているにもかかわらず,当分のあいだ老化を医学的に防止することは至難中の至難といわなければならない現況である。さらに,別の面から考えれば,老人年齢層の増加により,社会の活動力の低下が起る。治療医学の発達により,人類の活動年限の延長は起るであろうが,それにしても,前記の事実を否定することはできない。ここにもまた,老化防止医学の研究の重要さがある。当分のあいだ望めないことではあるが,老化防止法が完成すれば,社会から老人層が消えてなくなる。しかしてすべての人が,活動力のある青壮年層に停まるであろう。
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