PROPOSAL
座談会"産婦人科の眼疾患"を読んで—特に鉗子分娩による損傷を中心として
清水 直太郎
1
1九州大学温泉研究所
pp.253-254
発行日 1964年4月10日
Published Date 1964/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409203011
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本誌の第18巻第1号に産婦人科の眼疾患についての座談会記が載つている。そのなかの分娩による損傷の項で,鉗子分娩による児の眼障害が述べられている。この点について読後の感想を書くように求められた。これは本誌第17巻第10号の日常診療メモで,鉗子術の実用性について—高年初産婦の骨盤位分娩への応用—と題して鉗子術の今日における価値に関する所感をのべたためであると惟う。
鉗子術による児の眼損傷については,Wolffは93例の鉗子分娩児で眼窩骨折19例,眼球脱臼18例,眼球突出症12例をみている。座談会記でも眼科の大家連によつて,新生児の眼損傷にとつて鉗子分娩が最も危険であること,特に多いのは角膜混濁であり,そのほか眼瞼結膜,前房,網膜などの出血がみられることが述べられるとともに,場合によつては長く禍根としてのこり,児が大きくなつて初めて視力障害を訴えて眼科に受診することが稀でないことが指摘されている。産科医として改めて鉗子術の児への危険性が大きいことを考えさせられ,鉗子術の使用は一層の慎重さが必要であると痛感するし,また損傷の早期発見,早期治療が重要であることからみて,Wolffのいう如く,また座談会で述べられているように,鉗子術後には必らず検眼すべきであると思う。
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