医学書院/洋書だより
—Paul Williamson 著—Office Diagnosis
綿貫 喆
1
1慈恵医大第1外科
pp.42
発行日 1964年1月10日
Published Date 1964/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202959
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本書を読んでまず気づくことは,こういうスタイルの本は,わが国では皆無に近いということである。われわれが従来なじんできた医学書はいわゆる教科書的書き方をした本である。医学を修めるにはこのような教科書によつてそれぞれの科目の知識をおさめることは勿論必要なことではあるが,実地に当つて患者を診察する際にはこの知識が案外役に立たないことがある。同様な訴えや症状を呈する疾患は実に多いことは日常経験することであるし,また教科書の記載通りの症状を呈してくれない場合もかなりある。教科書を縦の知識を与えてくれるものとすれば,横のつながりを教えてくれる本がほしくなる。本書はまさに横の知識を与え鑑別診断の目やすを教えてくれる本ということができる。
本書は表題の示す通り第一線で患者を診断するために書かれたものであり,始めて患者を診察する際の鑑別診断を目的として記載されている。従つていろいろの症状をテーマとしており,その領域は各科に及んでいる。総論につづいて12章の各論からなつている。すなわち一般症状,皮膚疾患症状,頭頚部症状,胸部症状,呼吸症状,心臓症状,腹部症状,消化管症状,泌尿生殖器症状,婦人科症状,筋骨関節症状,末梢循環症状に分れている。
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