PROPOSAL
失明と産婦人科—後水晶体センイ増殖症に関連して
中島 章
1
1順天堂大学眼科
pp.925-926
発行日 1963年12月10日
Published Date 1963/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202932
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今年7月初め名古屋市で開かれた第3回先天異常学会に出席したが,そこで改めて産婦人科の方々の先天異常に関するつよい関心を感じとることができた。実際そこで行なわれた報告の少なくとも1/3は産婦人科の方々によるものであつて,先天異常学会は産婦人科学会の分科会のような錯覚を起こしたくらいである。しかし,このような傾向はわれわれ産婦人科以外の科の者にとつても,大変にありがたいことといわねばならない。実際,その時のシンポジウムで紹介されたように,先天異常の大部分が,遺伝的要因と,妊娠から分娩,新生児期にかけての環境要因とのからみ合いで起こるものとすれば,その原因の働らいている期間を見守る産婦人科医の方々に,その予防のかぎが握られているといつてよいであろう。そして,例えば私ども眼科医は,いわばその時期にでき上つてしまつた結果をおしつけられる立場,そしてその結果の殆んどは,現代医学の力ではどうにもならない結果であつて,それに対して殆んどなすところを知らない。という不利な立場にあることを感じさせられている。従つて,産婦人科の方々にお願い申しあげたいことは,このような,各科のおかれている立場をよく認識していただいて,我々の力でもどうにもならない先天異常の予防の研究にいつそうの関心と努力とを払つて戴きたいということである。
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