症例
未熟児網膜症(後水晶体線維増殖)について(第1報)
中嶋 唯夫
1
,
柄沢 和雄
1
Tadao Nakajima
1
1日本赤十字社本部産院
pp.351-356
発行日 1970年4月10日
Published Date 1970/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409204201
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はじめに
後水晶体線維増殖症は未熟児網膜症,あるいは後水晶体線維形成症などとも呼ばれ,未熟児に関心が高まり,保育方法も高酸素環境の保育器を用いるなど,保育成績が向上した時点での落し子,また低体重未熟児に多く認められることから一命が救われた結果,その未熟性の一部分症として遺された疾患かなど,現在なお後述のごとく,必ずしもその原因は分明でなく,罹患児に見られる後障害を必ずしも残さないなど,また検査の時期などで必ずしも明確な連続追求検査でないと詳しいことは述べられないが,われわれは当院に未熟児センターが設けられてすでに15年になるが,昭和31〜33年収容未熟児のfollow up調査で特に本症の後遺症も把握しえず,視力障害を訴えた退院後の訪問指導2例も追跡調査で視力異常もきたさなかつたなどから,当院未熟児センター収容児には発生は稀有のことと安心していたが,昭和41年より昭和42年度にかけ,眼科専門医に高度の本症と診定された4例に遭遇したので,前述のfollow up調査時の集計をも参考に以下少しく報告したい。なお本年より日赤中央病院梶眼科部長に生下時体重2,000g以下,呼吸異常の長びいた症例を中心に退院前の眼底検査をお願いしているので改めて他の機会に報告したい。
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