Japanese
English
症例報告
子宮頸癌の放射線療法により発生した大腿骨頸部骨折の3例
Three cases of fracture of femoral cervix due to the radiation therapy of cancer of the uterine cervix
小泉 博
1
,
中西 敬
1
,
豊島 克
1
,
田村 晃
1
,
町田 純一
1
Hiroshi Koizumi
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.597-601
発行日 1960年6月10日
Published Date 1960/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202228
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Ⅰ.はしがき
子宮癌・前立腺癌・直腸癌などの放射線療法による大腿骨頚部骨折は,Baensch (1927)以来約200例の報告があるが,本邦においては赤林等(昭34)が直腸癌手術後のX線照射により発生した両側大腿骨頚部骨折の1例を報告したのみである。本症は前駆症状として骨折証明前の数週間股関節部の重圧感・不快な下肢鈍痛などがみられるため,しばしば坐骨神経痛・リウマチスとして治療され,或いは癌再発・骨転移などと誤診されて更に大量のレントゲン照射を受け完全な骨頭壊死に陥るおそれなしとしない。近年平均寿命が延長して高齢者が多くなり,他方レントゲン深部量の増加により本症の発生頻度は高まるものと考えられるが,早期診断こそ本症の治療上最も大切である。著者らは最近子宮頚癌X線照射療法による本症の3例を経験したので報告する。
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