Japanese
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特集 産婦人科診療の今昔
婦人科学
麻酔
Anesthesia
中島 精
1
,
竹村 敏朗
1
Kiyoshi Nakajima
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科学教室
pp.44-48
発行日 1960年1月10日
Published Date 1960/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409202117
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麻酔法の今昔というも,私が麻酔を知るようになつたのは,大正の末期のことであつて,それ以前のことはあまり知らない。1842年米国の外科医Crawford William Longがエーテル麻酔法を発見せし時に始まるという。エーテルが発見せられたのはその以前なりという。1844年には米国のHardfordの歯科医Horace Wellsは亜酸化窒素麻酔法を発見した。1846年にはBostonのMas—sachusetts General HospitalにてMortonとJacksonが麻酔手術を公開し大成功をなしたが,両者は優先権論争し,両人ともその末路はあわれなものであり,歯科医Wellsの末路は悲しむべき自殺となつたことは麻酔史の悲劇である。何れにせよBostonにおける公開麻酔より,エーテルは英独仏の欧州に拡がつたことは事実である。多くの医学が欧州に勃興したのに対して,麻酔法が米国に始まつたということは興味あることで,近代手術が米国に急速な進歩を遂げたことは,この麻酔法の進歩に与ること大なるを思わしめる。エーテル麻酔法の発達と共に他方英独仏三国においてそれぞれ別々にクロロホルムが発見せられて麻酔作用がありとし,1847年仏のSédillot が始めて麻酔に応用したという。
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