Japanese
English
原著
塗抹細胞診1万例の綜合成績
Statistical results of 10,000 samples of smear test
髭 一男
1
Kazuo Hige
1
1慶応義塾大学医学部婦産人科教室
pp.157-160
発行日 1956年3月10日
Published Date 1956/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201333
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緒論
凡そ全ての疾患に早期診断の重要な事は当然であるが,婦人性器悪性腫瘍の早期に診断する事は困難で,しかも早期診断,治療は患者の予後を左右する大なる因子である。
早期癌は進行せる癌に比し癌組織が限局され,殊に浸入前癌(pre invasive cancer)は皮下筋層淋巴道と無交通であり,単純切除により根治可能である。晩期癌は癌組織は蔓延し如何なる治療法によるも根治不能となる。癌根治の根本は実に癌の早期診断にあると言わねばならない。1943年Papanicolaou及びTraut両者により腟塗抹標本による癌の診断的価値のある事を発表し次いでMeigs,Craham,Ayre,等も追試し,其の診断的価値を認めた。吾が国に於いては,昭和23年手塚が追試報告したのが最初で,尼木,水野,安藤,石川等の報告が先駆をなすもので,共に本法の価値を認め,次いで橋本はHortega染色変法について細胞診の価値を認め,中村は擦過法の適確性と其の誤診例を検討した。其他貴家,原田等の位相差顕微鏡による細胞診,岩淵等による腹水中の悪性細胞発見,河野,長内等により本法による子宮癌篩別検診等,其他60以上の追試報告があり優秀性を確認している。
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