Japanese
English
特集 子宮内膜症
卵集妊娠と卵巣エンドメトリオージス
Ovarian pregnancy and ovarian endometriosis
菊田 昇
1
,
今井 清
1
Noboru Kikuta
1
,
Kiyoshi Imai
1
1東北大学医学部産婦人科教室
pp.153-155
発行日 1956年3月10日
Published Date 1956/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201332
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緒言
卵巣妊娠は稀な疾患である。Mercer1)(1614)が初めてその1例を,Maurioe2)(1682)が次の1例を報告したが,何れも学界に認められず,その後一時は本疾患の存在すら疑われた時代があつた。併し,C.von Tvssenbrock3)(1899)は確実な1例を報告して,始めて本疾患の存在が認められた。その後内外の報告があるが,Young & Ha-wk4)(1933)によれば,それ迄卵巣妊娠として報告されたものは数百例に及ぶが,確実なものは100例に充たないと述べ,Courtiss5)(1942)は確実なものは既往の文献中で89例に過ぎないと述べている。本邦文献では岩淵等6)(昭29)は山下7)(1908)の報告を嚆矢として40余例の報告を見るに過ぎずと述べ,その後西等8)(昭29),松沢等9)(昭29),原田等10)(昭30),高見11)(昭30)の報告を通算しても50例に充たない。又,同側卵巣にエンドメトリオージスを合併せる卵巣妊娠は欧米文献で,Kuzma12)(1944) Mc.Kenzie13)(1943)の報告が見られるが,本邦には報告を見ない。本症例は卵集妊娠の発生機転を考える上に重要な役割を占めるので此を報告し,併せて卵巣妊娠の成因に就て考按を加える。
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