診療室
塗抹標本診と訓練の必要性
和田 一男
1
,
遠藤 吉彦
1
,
髭 一男
1
1慶應義塾大學産婦人科學教室
pp.295-297
発行日 1953年5月10日
Published Date 1953/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200835
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子宮癌診斷法であるPapanicolaouの塗抹標本法發表以來,僅か10年足らすで醫學會にこれ程廣く,深く追試検討され,又數多くの論文が發表されていることは,本法に對する關心が如何に深く又其の早期診斷が如何に重要であるかを物語つているものと思われます。
我が國に於ても現在迄,本法に關する報告も多數發表され各大學病院に於ては日常産婦人科領域のみならず各方面に於て悪性腫瘍の重要な診斷法となつていますが,未だ一般醫家の内には仲仲その判定がむすかしい點,又Papanicolaouの染色が非常に複雑である點などから.多忙な診療中其の様な苦労より,單に組織標本切片を探り大學病院に送れば,明確な判定をしてくれるので,勿ら組織標本に重きを置いていられる様であります。然し乍ら浸潤前癌,隠蔽浸潤癌の不可視癌は,肉眼的には全然異常が認められず,如何なる部分から組織標本切片を採取すべきか不明で,その採取標本が偶然癌の存在する部分に適中すればよいが,さもなければ實際癌が存在していても,組織標本判定上には"異常なし"と回答せざるを得なく,必然癌の進行をその儘見過さなければならぬ事は,我々の既に經驗している事實であります。
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