疾患の病態と治療 再発と再燃
エンドメトリオージス
加藤 順三
1
Junzo Kato
1
1帝京大学医学部産科婦人科学教室
pp.709-714
発行日 1977年8月10日
Published Date 1977/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409205666
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子宮内膜症が婦人科疾患として特異な点は本症が良性疾患であるにかかわらず,"benign cancer"として悪性様浸潤型に隣接組織を浸潤・破壊するとともにリンパ性に浸潤して,他の組織を侵し,線維症,癒着を惹起する結果,卵巣破壊,卵管変形などの骨盤内臓器障害をきたし,不可逆的な機能的器質的損害を与えることにある。また血行性にも転移する。そしてそのもたらす徴候・症状は多彩である1〜5)(Kistner,Greenblatt,高邑,滝)。
次の特徴として近年本症の発見頻度の増加が報告されており2,5,7),河合によると6),1940年代の1〜3%台から,1967年の13.1%,1974年では実に39.9%と驚くほどの急増を示し,婦人の地位上昇に伴う"文明病"の一つと考えられている。また,従来25歳以前にはまれで,30〜40歳代の成熟期婦人の疾患であると考えられてきていたが,teen—agerにもしばしばみられることがわかってきており,若年者の月経困難症の場合,子宮内膜症を疑うことが重要であり,20歳代の不妊症の主因でもあるといわれている2)(Greenblatt)。これらのことから,子宮内膜症による損害が不可逆的にならない前に阻止,防止することが重要になる。
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