原著
妊娠時風疹罹患の胎児に及ぼす危険性に就いて
出口 奎示
1
1東京大学医学部産科婦人科学教室
pp.1011-1017
発行日 1955年12月10日
Published Date 1955/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201282
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I.緒言
妊婦が妊娠初期3ヵ月頃迄に風疹Rube11aに罹患すると,先天性奇形児を分娩する危険性のあることが過去15年間に互つて警告されている。1940年Gregg1)は初めてオーストラリヤに風疹の広汎な流行を見た際,翌年妊娠初期に本症の感染を受けた妊婦の児に白内障,心臓異常等の多く見出されたことを報告し,引き続きオーストラリヤのSwan及びその協者2)3)4)(1943〜45) Carruth—ers5)(1945)等の追試観察により,Greggの知見が確実視されるに至つた。一方米国に於けるReese6)(1944)の初の報告に次ぎErickson7)(1944),Greenthal8)(1945),Prendergast9)(1946),英国に於てはClayton-Jones10)(1947)等の類似追加報告が相次いで出現し,これ等の共通知見より妊婦が風疹に感染すると,先天性異常として児に心臓異常,白内障,聾唖,矮脳,精神発育遅延等が出現し,流産,死産の原因にもなり得ることが疑い得ない事実と見做されるに至つた。
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