原著
婦人科手術による心電圖特に丁棘の變化
福島 修
1
,
勝野 正哉
1
,
北井 徳藏
1
1慶応義塾大学医学部産婦人科教室
pp.549-553
発行日 1954年9月10日
Published Date 1954/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201095
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緒言
手術を行うに際しては,予め患者の術前検査及び処置が完全に遂行され,安心して手術が出来る状態に患者が置かれているということが最も緊要である。この術前処置は手術の負荷が大であればある程,患者のあらゆる方面から十分になされねばならぬが,中でも血行器の検査は最も重大なものであり,手術の予後とも関連する故綿密にする必要がある。この検査は心機能検査と末梢血行機能検査の二つに大別されるが,我々は現在主として前者には心電図を,後者にはBickenbach氏起立試験を採用している。
我産婦人科領域に於ける心電図及びBickenb—ach氏起立試験に関する研究は多々報告されているが,手術後迄その変化を追及した報告は非常に少い。特に子宮癌の根治手術は他の産婦人科手術と異り,患者に相当な影響を与えるものと想像されるが,我々は血行器,特に心機能に如何なる影響を及ぼすものであるかを検索せんと欲し,今般心電図撮影には肢誘導と共に胸壁誘遵をも採用し且つ術後に於ける変化を術前と比較追及し,Bic—kenbach氏起立試験と併せて若干の成績を得たので少数例であるが茲に報告する次第である。
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