原著
トリコマイシン腟錠に依るトリコモナス腟炎の治療効果と本虫の形態学的變化
篠塚 昭夫
1
1東京大学医学部産婦人科学教室
pp.543-549
発行日 1954年9月10日
Published Date 1954/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409201094
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
緒言
1種の原虫たる腟トリコモナスに因る所謂トリコモナス腟炎は,極めて難治の疾患として知られ従つてHöhne以来今日迄幾多の研究が続けられているが未だ確実なる治療藥,感染径路,病原性形態学的変化,再発再感染等種々なる重大なる問題が残されている。
伝研細谷教投は放線状菌の産生する抗生物質でトリコモナス(Trichomonas Vaginalis及びfa-etus)に対して極めて強力に作用する抗原虫性物質を分離した。該物質はまた同時に諸種の酵母類,カビ類に対しても作用するといわれTricho-mycin (以下TMと略記)と命名した。私は該物質の試供を受けたのでその治療成績と培養腟トリコモナス(以下腟トと略記)の形態学的変化の大要を報告する。
Copyright © 1954, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.