交見室
膀胱腟痩手術について,他
近喰 利光
1
1日本医大泌尿器科
pp.542
発行日 1976年6月20日
Published Date 1976/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202181
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廣瀬氏らの「膀胱腟痩の根治手術」(臨泌30巻4号)を興味深く拝見致しました。最近膀胱腟痩の大半を占める医療行為による症例が減少したため,腟痩に遭遇する機会もまた減少しました。しかし,膀胱腟瘻手術には尿痩全般に共通する問題が包含されているので,そのうち最も重要だと考えている点について私見を述べさせていただきます。
最近は膀胱を全層一層縫合で閉じている手術書も多いようですし,廣瀬氏もOプレン・カットグットでの一層結節縫合を用いておられますが,この場合瘻孔部になんらの補填物も置いておられません。いまだ完全に異物反応を示さぬ縫合糸はなく,しばしば縫合糸の部位で瘻孔を再発するのは周知のことであります。論文中には「腟壁縫合はOOクロミック・カットグットで止血する程度に行なうか,または腟への分泌液の出口と考え放置する」と書いておられますが,第5図には腟全層縫合が画かれております。この点は非常に重要で,もし補填物を入れず,しかも膀胱を全層一層縫合とするならば,膀胱縫合糸と腟縫合糸とは同一部位にあつてはならない,と私考します。
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