特集 産婦人科診療の進歩
無排卵性月經に就て
渡邊 輝彦
1
1共立志太病院
pp.834-838
発行日 1953年12月1日
Published Date 1953/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200944
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I.正常月經における周期的變化
月經の機序に關する知見は最近著しい進歩を示し,解明された點が少くたい。1908年Hitschmann, Adler1)等は子宮内膜の形態的周期變化を詳述して,月經後期,中間期,月經前期,月經期の4期に分ち,ついでSchröder2)は卵巣の周期性變化,すなわち卵胞成熟,排卵,黄體形成,黄體退縮が内膜それと平行することを見出し,子宮内膜を卵巣の卵胞期に對應する増殖期と黄體期に對應する分泌期とに分けた。『排卵たければ黄體なく,黄體たければ月經たし』と云うMeyerの言葉は之等の研究成績を簡潔に表現している。更に荻野3)は排卵期が先行月經ではなく次回月經に左右される事,すなわち月經周期の長短に關せず黄體期が一定である事,換言すれば子宮内膜の分泌期が一定である事を見出した。
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