特集 塗抹検査
技術解説
細菌検査のための塗抹標本
上條 清明
1
1順天堂大学細菌学教室
pp.828-833
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915809
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
I.標本作製準備
細菌検査の第一歩は,病材料中に存在する微生物をつかまえることであり,その為にはまず,どんな微生物が材料中に存在するかを知らなければならない。便宜上,病材料が送られてくるとすぐ,分離培地にうえることが多いが,労を惜しまずに,その材料を一枚のスライドグラスに塗抹して,みておけば,爾後の検査が定法通りに進まないか,あるいは予期したような結果が得られない場合に,もう一度最初からやり直さなくてもすむし,また,最初に材料中の微生物をグラム染色でみておくことによって,どんな分離培地を使い,どんな順序で検索を進めたら良いか,おおよその計画が立つ場合が多い。
したがって病材料からまず塗抹標本を作って観察することは,細菌検索の重要な一段階であり,ことに,臨床症状から病原体を推定することが困難な場合には,ぜひともやらなければならないわけである。
Copyright © 1965, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.