最近の産婦人科の動き
人排卵の誘發
齊藤 幹
1
1東京醫科齒科大學産婦人科教室
pp.229-230
発行日 1952年5月10日
Published Date 1952/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200624
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Willis E.BrownはProgress in clinical Endoc-rinology(1950)で人排卵の誘發について次のように述べている。婦人科的疾患殊に無月經,機能性出血等の治療に當つては人工的に排卵を誘發しえたならば問題を一氣に解決できるであろうと瘻々考えられる。事實現在まで多くの先人により人排卵誘發實験が行われているがなかなか實現困難な現状であるが現在考えられ又行われている排卵誘發についての大略を述べてみることとする。之に先立つて排卵の有無を適格に知る方法が必要である。この方法には色々あるが中でも適時開腹して卵巣に排卵の痕跡又は黄體或は卵の存在を認めうれば一番確實であるが一般に用いる事は到底できない。從つて間接的に排卵の存在を示す子宮内膜像の分泌性變化,基礎體温の二相性變化等の徴候より綜合的に排卵を推定している。この外に尿中Pregnandiolの測完によつても排卵を推完できるが簡單に之を應用することはできず,腟細胞の變化或は頸管粘液の變化を見る方法もあるが確實性に乏しく,人によつては中間痛を參考とする事ができるが凡ての人に之を求める譯にはゆかない。
排卵のメカニズムの詳細は尚不明であるが大體次のように考えられている。即ち下垂體前葉より分泌される卵胞成熟ホルモン(Follikel stimula-ting hormone略してF.S.H.)は卵巣に働らいて卵胞を發育させる。
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