原著
人排卵誘發に關する研究—(1)無月經及び機能性子宮出血例
小林 隆
1
,
高木 繁夫
1
1東京大學醫學部産科學婦人科學教室
pp.59-64
発行日 1952年2月10日
Published Date 1952/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200582
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〔1〕緒言
人工的任意排卵誘發が婦人科ホルモン療法の適應症の上で占める意義に關しては改めて論するまでもない。腦下垂體卵巣系の反應機序が判明するにつれ,性腺刺戟ホルモンの臨床應用に關して幾多の研究を見るに至つたが,人間では囓歯類と異って遙かにその反應機序が復雑し,加えて研究上の困難と相俟ち現在尚其の成績に關しては満足すべき状況にあるとは云えない。併しながら一部には長谷川教授(昭和12年)のメトロパチーに對する妊婦血液輸血やDavis,Koff (1938),Siegler,Fein (1939),Hamblen,Davis (1945)等に始まる妊馬血清療法及びone-two cyclic treatment等によつて人工的排卵に成功し,その卓越性が認められたものもある。但し後者に就てはその效力を否定し(Hamblen),剰へ該療法後稍々もすると發生することのある向性腺刺戟毒や抗ホルモン性物質,アレルギーアナフィラキシー等の問題に鑑み其の濫用を強く戒める者(Aberbaul,Leathem)もあり,依然純粋且つ強力無害な性腺刺戟ホルモン療法への探求が續けられて來た。
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