診療室
帶下の治療について
藤井 久四郞
1
1東京醫科齒科大學産婦人科
pp.373-375
発行日 1950年9月10日
Published Date 1950/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200388
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7月24日に東京地方部會でこのテーマをとりあげて座談會をした.この問題は古くから診療室での惱みのたねであつたが,化學療法やホルモン療法がかなり進歩した今日に於ては,どのように變化しておるであろうか,興味の必ずしも少くないことであろう.私は傍聽者として當日の記臆をたどりその大勢を讀者のかたにお傅えしようと思う,
先ず帶下は多かれ少かれ,婦人に認められるものであろが,生理的と病的との限界はどこにおかれておるかの問題がある.眞柄教授は,Papanic—olaouの膣内容塗抹標本の研究によりSchroderの膣清淨度の概念がかなり改められねばならぬことを指摘し,また膣内容の酸度に對しては膣内杆菌よりもエストロジェンの重要視すべきことを述べられた.すなわちSchroderの第1度というのは白血球を含まず上皮細胞と膣杵菌だけが膣内容に證明される場合であるが,これだけが正常状態であるという考え方は正しくない,何故ならば膣内容の形態は月經周期によつて變化し,排卵前期には第1度の状態が見られるが,排卵後期には白血球がかたり多數あらわれ,上皮の形態も複雜になつて來る.そして細菌も必ずしも杆菌のみではなくなる.
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