講座
臍帶卷絡について
篠原 弘藏
pp.14-15
発行日 1954年4月1日
Published Date 1954/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611200579
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1)臍帶卷絡の定義発生頻度その他
臍帶卷絡は多くの産科教科書に記載されてあるとおり臍帶が,胎兒の主として,頸部及び躯幹四肢にて数回卷絡している状態をいう.全分娩数に対する比率を代表的な10人の報告者の統計(表の如し)からみると,一番少い者で7.2%,一番多い報告はZangenmeisteiの30%で20〜25の報告が一番多くみられる.
すなわち4〜5回に1回の割合にみられかなり多いものである.卷絡部位は主として頸部で躯幹四肢はきわめて少い(頸部卷絡96〜98%).何故に臍帶が胎兒の頸部その他に卷絡するかについては,昔からいろいろの学説があるが臍帶が長い事,胎兒の運動が活溌である事等が挙げられ又或者は臍帶が長く,子宮下部に生じた臍帶の輪を胎兒が通過する事により卷絡が起るというが何れも決定的な学説ではない.臍帶卷絡と分娩時の胎位胎向,新生兒の身長,体重との関係,出血量臍帶捻転方向等の間には密接な関係は認められない.
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