症例研究
興味ある經過を示したBroeq氏先天性魚鱗癬樣紅皮症の1例
本橋 博文
1
1東京遞信病院産婦人科
pp.367-371
発行日 1950年9月10日
Published Date 1950/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200386
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緒言
先天性魚鱗癬樣紅皮症Erythroclermia ichthy—osiformis congenitalisは出生時より全身皮膚に顯著な潮紅と角質増殖水泡形成等を發現する.極めて稀な失天性全身皮膚疾患である.本症はBrocq氏がその2例を得て,1902年に記載して以來一般に注意されるに至り,そのため特にBrocq氏先天性魚鱗癬樣紅皮症と呼ばれているものであるが,然しそれ以前UidalがHyperepiderotro—phie generaliseeとして報告している1例(1881)及びSangsterが"A case of congenital exfoli—ation"として報告している症例(1895),更にRaschが記述しているErythrodermia exfoliativa universalis congenita familiaris (1901)は何れも本症に屬するものであつたといわれる.その後の諸外國の報告例数は相當の數に逹しているが,本邦では極めて乏しく,後述する先天性魚鱗癬Ichthyosis congenitaを除けば西村氏のもの(昭8)を嚆矢として余は僅かに7例を知るのみである.余は最近,本症の異常經過を見せた1例を經驗したので,その實驗例を示し,且つ少しく考察を試みたい.
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