原著
神奈川縣下女學生の月經調査—戰爭が女學生月經に與えた影響に就て
松本 淸一
1
1昭和醫科大學産婦人科學教室
pp.346-352
発行日 1950年9月10日
Published Date 1950/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200382
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1 緒言
種々生活の變化が月經に變化を起す事は既に周知のことで,Mayer1)は若年婦人が就職した際機能無月經を招來することがあるのを,Nordmeyer & Howe2)は前大戰後のドイツで都市から田園に移住させて農業勞働を行わせた14-15歳の少女の61.9%に,又同時代の勤勞奉仕工場勞働者の39.5%に無月經發來を認め我國でも新谷3).佐藤4),梶川5),八木6),桐原7)等は女工その他の勤勞者で就職時の月經變化,就中無月經に就て報じている.一方戰時の我國では戰況の緊迫化に伴い,戰災,疎開,防空,勤勞動員,或ほ榮養不良等の社會生活上の變化或は惡生活環境が生じ,之が因となつて多數婦人に機能無月經を起させ,所謂戰時無月經なる著しい現象として認められた事は先に余8)9)の報じた所で,山本他3氏10),[井上11),高知12).花岡13)等も同様事實を認めている.又戰時惡環境下の勤勞者或ほ動員學徒等の月經に就ても多くの調査がなされ,山本等10)は女學生,余14)は看護婦及び女工,松岡15)は勤勞動員女學生井上16)は挺進隊員,畑瀨17)は勤勞動員女學生,塚田18)等は同樣動員學徒,挺進隊員及び看護婦,尼木19)は女學生に就て夫々月經の變化乃至無月經の多く見られた事を報じている.
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