原著
騎袴麻醉(Saddle block Anesthesia)による無痛分娩(第1報)
森 新太郞
1
1岡山大學醫學部産婦人科教室
pp.353-357
発行日 1950年9月10日
Published Date 1950/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200384
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緒言
無痛分娩に關しては從來種々の藥劑や樣式があるが,何れも其の成績不定,技術困難或は母兒への副作用等のため一般的ではなかつた.特に本邦では産痛に堪えるを以て婦人の美徳なりとする觀念が根強く,之れに無痛法に對する資材の不完備不足及び分娩が主として助産婦に委ねられている等の不利も加わつて之等の研究も泰西より遙かに遲れ,氣輕に行われ而も安全且確實なる無痛法の發表には接せない状態であつた.
1946年米國Neworlerns Charity HospitalのAdriani及Roman-Vegaは麻醉がsaddle(鞍)部分(内臟會陰を含む)に局限される一種の低位腰椎麻醉法を考案し"saddle block"なる名稱を付けた.此の手技は同年同病院のParmley及Adrianiにより分娩時無痛法に應用されその安全性と簡易性を提唱するに至り米國では現在盛んに追試せられ1949年始めまでに文獻例數丈でも約6,600例で現在では既に10,000例を突破していると思われる状態である.而して1948年末J.H.Waltonは之れの綜説を發表している.
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