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今次大戰の女學生月經に及ぼした影響について—前編 食糧事情と月經異常
山田 滿寛
1
,
藤井 忠
1
,
尼木 紹雄
1
,
山田 曅穗
1
1熊本醫科大學産科婦人科學教室
pp.59-63
発行日 1949年2月10日
Published Date 1949/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200167
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緒言
戰爭が交戰國民の身心に及ぼす影響の甚大なるは想像に難くなく,殊に男子出征に依る銃後の不安,責任の荷重は婦人の生理的周期現象たる月經に尠からざる影響を及ぼす事も當然想像される所で,既に第1次世界大戰に際してDietrich (1917)に依り戰爭無月經が大きく報ぜられた事も未だ吾人の記憶に新なるものがあるが,今次大戰に於ける吾が國の如く大方の男性は出征し,國土は頻々たる空爆の脅威にさらされ,食糧事情は極度に逼迫し剩へ敗戰と言う未曾有の悲境に陷り,之に續く社會不安殊に經濟的破綻に直面せる敗戰國の婦人の性機能特に月經には著變が起る事も當然想像される.事實戰爭末期並に終戰直後熊本に於ても無月經又は月經異常を訴える婦人が可成り多く,本院外來患者中にも斯かる例を見るに到つためで實態調査の急務を痛感しだ當教室は熊本縣・宮崎縣・廣島縣等の女學生に就き月經状況を調査し既にその成績の一部は報告した.今回は熊本縣下女學生の月經状態を統計的に觀察したので,本編では先づ食糧事情別に,後編では家業別に夫々月經異常を統計觀察した.
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