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家兎輸精管に對する男性ホルモンの影響
橫倉 正肆郎
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1慶應義塾大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.202-206
発行日 1948年11月1日
Published Date 1948/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200121
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緒言
余は嚮に正常家兎輸精管に對する藥理學的研究を行ひ、家兎輸精管は交感神經、副交感神經の兩者に支配せられ、何れも促進纎維を分布せるを明らかにせり。
輸精管運動に對する男性ホルモンの影響に關しては從來二方面より觀察せられ、一つは輸精管を懸垂せるリンゲル氏液中に男性ホルモン製劑を注加しその直接的影響を觀察せるものと、他は豫め去勢又は男性ホルモン製劑の注射により、前處置を行ひたる動物の剔出輸精管に就て、その間接的影響を觀察せるものとあり。前者に關しては、井尻は睾丸ホルモン製劑が輸精管運動を亢進せしむと報告し、長澤は高濃度にては平滑筋を麻痺するも、低濃度にては副交感神經末梢を刺戟興奮せしむと報告せり。後者に關しては、Martine Valle a. Portoの報告ありて、男性ホルモンは輸精管の興奮性を抑制すとあり、何れも一方的方面よりの觀察にして、未だその結論に於て一定せざる状態なり。
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