原著
子宮癌と腎外性無尿
松山 文生
1
,
小山 義博
1
,
田中 瑞穗
1
1長崎大學醫學部産科婦人科學教室
pp.278-280
発行日 1953年5月10日
Published Date 1953/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200831
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1.緒言
子宮癌の末期に於て癌組織腫大による尿管の壓迫→尿管の閉塞→乏尿→無尿→尿毒症と一連の變化を起し,遂に死の轉帰を取る事は先人も之を認め,Scheffey1)は放射療法後の癌死の大半は尿管壓迫を起した後腹膜骨盤結合織の浸潤か,或いは腎機能の閉止を來した浸襲か,尿毒症によると述べKlempner2)は骨盤結合織に浸潤のある頸癌は70%の割に水腎症を起し得ると言つている。事實癌死因の大半は尿毒症,感染,出血に基くものであり,その内感染は抗菌性物質により治療せられる様になり,出血も輸血と外科的處置で或る程度救命される今日,尿管閉塞の癌死因に對する意義は相當大きなものと見るべきである。
Simon3)によれば頸癌の剖検例に於て,Peasonは75%に,Aldridgeは34%に尿管閉塞を見出していると述べている。又子宮癌による無尿症については,Fritz4),Kubinyi5),市川・高安6)の報告があり,子宮癌による無尿症に尿管瘻造設術を施した報告としては,加賀美7),小名木・小林8),多賀9),岩下10),齋藤11),高月12)のものがある。
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