特集 扁桃摘出の病理と手術
終戰後食糧事情惡化と扁桃腺潰瘍について
鈴木 俊次
1
,
高岡 壯一郞
1
,
田村 外男
1
1靜岡赤十字病院耳鼻咽喉科氣管食道科
pp.817-819
発行日 1953年11月30日
Published Date 1953/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201033
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日常我々が取扱う扁桃腺潰瘍又は白苔を生ずる疾患は,デフテリー,猩紅熱,梅毒,結核,急性扁桃腺炎,腺熱,血液疾患等に併發する潰瘍及び,ヴアンサン氏アンギナ等があげられる。而して專問的經驗ある人には,各種補助診斷法により診斷を確定する事は特別の場合を除きさしたる困難はない。我々もかかる經驗から靜岡市を中心とする附近の患者を20年來診察治療し,これ等疾患の發生状態が慶大臨床に於る場合と大差ない事を經驗して居る。所が終戰後昭和21年5月から9月の間に過去經驗せざる樣な,主として一側性に發生し所見に比して主訴及經過良好の一種の扁桃腺潰瘍を極めて多數例經驗し,同時に非專問醫により充分なる検討を行はれずヂフテリーとして取扱はれて居たものを發見し,之を細菌的,病理的其他の諸検査併用により一種のヴアンサン氏アンギナと稱すべきものである事を確認した。同時に昭和20年から24年までの臨床例を追及した所,この發生が食糧事情の惡化と略平行して居る事を發見し今回の終戰直後の如き歴史的食糧事情の惡化から發生する耳鼻咽喉科疾患の一つとしてその要點を報告する。
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