連載 FOCUS
アジアの生殖補助医療
日比野 由利
1
1金沢大学医薬保健研究域医学系環境生態医学・公衆衛生学
pp.1018-1024
発行日 2012年10月10日
Published Date 2012/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409103177
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生殖医療のグローバリゼーション化とアジア
アジア諸国の経済振興や技術発展に伴い,医療ツーリズムが注目されつつある.生殖補助医療の分野でも,80年代以降,体外受精技術が導入され,顕微授精(ICSI)や着床前診断などの技術も普及してきている.
わが国は,体外受精の実施サイクル数・施設数とも世界有数の不妊治療大国である.しかし国内では,非配偶者間での治療が制限されているため,晩産化や患者の高齢化に伴い自己卵子での妊娠が難しくなるケースも多く見受けられる.卵子の老化が原因の不妊に対して,卵子提供が有効であることが知られている.第三者生殖技術に対する需要の高まりの一部は,生殖ツーリズムを生みだしている.近年,米国以外にも,インドやタイ,マレーシアなど,第三者生殖技術を安価で利用できるアジアに向かう流れがある.
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