今月の臨床 常位胎盤早期剥離─ワンランク上の診断と治療
病態解明の現状
小林 隆夫
1
1浜松医療センター
pp.1302-1307
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409102826
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概念および分類
常位胎盤早期剥離(abruptio placentae : 以下早剥)は,妊娠20週以降で,正常位置付着胎盤が胎児娩出以前に胎盤の組織または血管の一部に破綻をきたし,出血により子宮壁から部分的または完全に剥離し,重篤な臨床像を呈する症候群と定義される.発症頻度は,報告者によって差異はあるものの,通常全妊婦に対し0.49~1.29%で,なかでも重症のものは0.1%程度である.本症は性器出血を主徴とする各種妊娠合併症のうち特に母体および児死亡率の高いものとして知られ,諸家の報告によれば,母体死亡率は5~10%,児死亡率は30~50%といわれている1~4).また,産科DIC(播種性血管内凝固症候群)の原因の約50%を占めるとされ,妊産婦死亡の原因となる疾患の1つである.早剥には,軽症から中等症,重症のものまであるが,一般的に用いられるPageの分類を表1 1~3, 5)に示した.なお,剥離の程度により部分性早期剥離(abruptio placentae partialis),完全早期剥離(abruptio placentae totalis)とも呼ばれる.
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